【食育クイズ】とは?
木製玩具のお店「ウッディプッディ」が月に1度開催する、食べ物に関するミニイベントです。その月の旬の食材をピックアップし、コラム、レシピ、クイズをお届けします。クイズの正解者のうち抽選で3名様に、テーマの食材がモチーフとなったおままごとのおもちゃをプレゼント!お気軽にご参加ください。
今月のプレゼント:なし(梨)
梨3兄弟
梨は大きく分けて「西洋なし」「中国なし」「日本(和)なし」の3つに分類されます。まずは簡単にそれぞれの歴史や特徴に触れてみましょう。
1.日本(和)なし
日本に暮らす人にとっては最も馴染み深いなしの種類。元はだいぶ古く、1~2世紀の弥生時代から既に存在したことから、稲作と同じ時期に大陸から伝わってきたと考えられています。
日本国内における日本なしの生産量が高い地域は、ふなっしーでお馴染みの千葉県(14%)が第一位。ついで茨城県(11%)、栃木県(10%)の関東圏3県がトップを占めています。「そこは山梨県だろ!」と言いたいところですが、残念ながらトップ3どころか情報元の資料ではトップ30位にすらランクインしておらず…。ちなみに二十一世紀なしでお馴染みの鳥取県は5位でした。
ランキング参照:『果物情報サイト 果物ナビ』
https://www.kudamononavi.com/graph/category/ca=28
日本なしは薄茶色っぽい「赤なし」と、黄緑色の「青なし」の2種類に分類されます。代表的な品種の「幸水」は赤なし、「二十一世紀なし」は青なしの仲間。しっかりとした甘みとみずみずしい果肉が特徴の赤なしに対して、青なしは甘さ控えめでやや酸味のあるすっきりとした味わい。みなさんはどちらがお好きですか?
2.西洋なし
ぽてっとした愛らしいフォルムが特徴的な西洋なし。なしのイラストには日本なしより西洋なしの方が圧倒的に多いせいか、食べたことがあまりない人でも親近感を抱くのではないでしょうか。
個人的には、むかし遊んでいた任天堂DSソフト『おいでよ!どうぶつの森』で、自分の村の特産品が西洋なしだったこともあり、個人的に思い出深いフルーツです(友達がおらず特産品が増えませんでした…)。
無駄話はさておき。16〜18世紀頃にドイツやイギリスを中心に栽培され、日本にやってきたのは明治初期頃。1875年に山形県の東置賜郡屋代村(ひがしおきたまぐんやしろむら、現在の高畠町)にて栽培が始まりました。そして約150年が経過した現代において、山形県の西洋なし生産量は国内流通分の7割を占めるダントツ1位の地域として名を馳せています。
栽培当時、出来上がったばかりの西洋なしを食べた人たちは「固くてとても食べられない!」と実を捨ててしまったそうですが、後に熟して甘い香りを放つその実をあらためて食べてみると、その美味しさに驚き、以降栽培が定着したそうです。日本に西洋なしを持ち込んだ人は、どうして熟成期間について教えてくれなかったんでしょうね。
そんな西洋なしの代表格「ラ・フランス」は、その名の通りフランスで発見された品種です。現在でもフランス産が圧倒的ブランドを誇る…と思いきや、1900年代初頭に病気が流行り、早々に絶滅。なんと現在ラ・フランスは日本でのみ栽培されているのだそうです。もはや「ラ・ジャポネ」と呼んでも差し支えないかもしれません。
3.中国なし
最後はあまり見かけることのない「中国なし」。形は西洋なしに近いですが、色と味は日本なしに似ているそうです。名前の如く中国に端を発する品種で、西洋なしと同様18世紀頃に日本に伝来したが、こちらはほとんど普及せず、北海道をはじめとする一部の地域で小規模栽培が行われるに留まっています。
広東料理、台湾料理においては、シロップで似た温かいデザートとして、または喉の症状に良いとされることから漢方に使用されるなど、中国・台湾では古くから生活に根付くフルーツの一つです。
梨特有の「しゃりしゃり食感」の正体
「細胞壁」という言葉を覚えていらっしゃるでしょうか。「昔理科の授業でなんとなく聞いたような…」と、私のように記憶の彼方へ追いやってしまった方のために改めてざっくりご説明すると、植物の細胞一つ一つを守る壁のようなもので、生物の細胞には存在しないものです。
その中でも一際丈夫な細胞壁を持つ細胞、それが「石細胞(せきさいぼう)」です。一般的な例として、梅干しやももの種が挙げられますが、なし特有のしゃりしゃり食感もまた、この石細胞によるもの。本来は種を守るための硬い殻を構成するための細胞ですが、なしの場合は実が成長するにつれて石細胞も全体に広がるそうです。なしとよく似たりんごにすら含まれないことから、なしのような現象は食べものの中でも異例なのかもしれません。
石細胞は「リグニン(木質)」と「ペントサン(食物繊維)」によって構成され、人間の体内では消化できないことから、腸を刺激し活性化する(蠕動運動:ぜんどううんどう)効果が期待できるそうです。
なしの語源
【中白】
中身が白い実だから「なかしろ」→「なかしろ」
【風なし】
強風が吹くとなしが落ちて収穫できないことから
「風なし」→「風なし」
【中酸】
内側に行くほど酸味が強まるから
「中酸(なす)」→「なし」
(どれも、なし以外の果物にも当てはまりそうだけど…)
【親子でカンタンレシピ】梨入りスイートポテト
秋の味覚である「さつまいも」と「なし」を一緒に味わえるスイーツです。さつまいもをつぶす(裏ごし)作業は、お子さまにも楽しんでいただけること間違いナシ!包丁を使った作業にトライする場合は、上に飾るなしのカットをお任せしてみてください。
【材料(3~4人分)】
・梨・・・1/2個
・バター(食塩不使用)・・・5g
・砂糖・・・小さじ1
・さつまいも・・・200g(可食部)
・バター(食塩不使用)・・・15g
・砂糖・・・小さじ1
・牛乳・・・大さじ2~4
【作り方】
①なしの皮をむき、芯を取り除き、1cm~1.5cm角に切る。また、それとは別に上に飾る用の梨は好きな形に切っておく。
②フライパンにバター5gを熱し、梨が透き通って軽く焼き目がつくまで焼く。
③②に砂糖小さじ1加えて、混ぜ合わせ、火を止める。
④さつまいもは洗って、皮ごと幅2cmくらいの輪切りにする。
⑤鍋に、さつまいもが浸るくらいの水を入れて5~10分ほど茹でる。
⑥さつまいもの皮をむいて、熱いうちにつぶして裏ごしする。
⑦⑥に砂糖小さじ1を加え、程よい固さになるように牛乳の量を調整しながら加える。
⑧⑦に③を加え混ぜ合わせ、耐熱容器に入れて、飾り用の梨をのせたら、オーブントースターで15分ほど焼いてできあがり。
【料理のポイント】
◯梨はしっかりと火を通すと口当たり良く、バターが馴染み一層美味しく仕上がります。
◯さつまいもは、茹でずに耐熱容器にかぶるくらいの水を入れて電子レンジで加熱しても良いです。その場合は、600Wで様子を見ながら2分ずつ加熱していってください。
◯お子さまには、さつまいもをつぶす作業がカンタンで楽しく行なっていただけると思います。
◯お子さまには、上に乗せる梨のカットにトライしてみていただいても良いと思います。梨はやわらかくて包丁がまっすぐに入りやすいので、比較的カンタンに切れますよ。
◯大人が食べても美味しい味付けにしています。梨やさつまいもは十分に甘い食材なので、お子様の年齢に合わせて、バターや砂糖の量を調整してください。
今月のプレゼント:なし(梨)
食材情報監修:皐月(栄養士・野菜ソムリエ)
レシピ監修:広瀬彩夏(管理栄養士)
編集:平子(ウッディプッディ)