WOODY PUDDY

社長ブログ

ウッディプッディ物語⑨ 時間よ、止まれ。オープン目前の夜明け

時間よ、止まれ。オープン目前の夜明け

― 時間よ、止まれ。オープン目前の夜明け ―

あっという間に2005年が過ぎ、
ついに2006年――オープンの年がやってきました。

待ちに待ったはずなのに、胸の奥は不安でいっぱい。
「もう少し…もう少しだけ時間がほしい。」
そう願っても、時計の針は止まってくれません。

再度、オープンまでにやるべきことをリストアップしてみました。
すると――まだ50%しか終わっていない。
残りの半分を、あと1か月で本当に終えられるのか?

青ざめる。
心の中で叫びました。

「時間よ、止まれ!」

けれど、止まるわけがありません。
やるしかない。
私たちは、優先順位を決め、もう一度全員で業務を洗い直すことにしました。

担当を再配分し、チームを再編成。
“もう一度ゼロから立て直す”気持ちで走り出します。

1月10日、船積み。
店への到着はおよそ20日頃。
届いたらすぐに開封し、商品価格を決めなければなりません。

しかし――ここで大きな壁が立ちはだかりました。
今まで私たちは卸専門。
小売価格の決め方がまったくわからないのです。

「どうやって価格をつければいい?」
「利益率は? 市場価格は?」

100円均一ならすべて同じ値段。
けれど、木製玩具や家具はまるで違う。

扱う商品は、
木製玩具と雑貨が50種類、家具が20種類。
ひとつひとつ、名前・原価・市場価格・見た目の印象を照らし合わせながら決めていく。

気が遠くなるような作業。
それでもやらねばならない。

机に積み上がった書類を前に、
何度も深呼吸をして、心の中でつぶやきました。

「ああ…本当に、死にそうだ。」

それでも、手は止めませんでした。
夢の扉が、もうすぐ目の前に見えていたからです。

ウッディプッディ物語⑧ いよいよ年の瀬、オープンまであと2か月

いよいよ年の瀬、オープンまであと2か月

― いよいよ年の瀬、オープンまであと2か月 ―

ついに12月。
一年の終わりとともに、ウッディプッディの物語も大きな節目を迎えようとしていました。
オープンまで、残された時間はたった2か月。

でも――まだ何ひとつ、完璧にはできていない。
焦りと不安が、毎日のように押し寄せてきます。

1️⃣商品

中国の工場から、ようやく見本が届きました。
スタッフ全員で集まり、一つひとつ丁寧にチェック。
最終の仕様を決め、何とか1月の船積みに間に合わせる段取りを整えました。

しかし、初回生産は200個単位。
工場側からは「これじゃ赤字だ」「人件費も出ない」と不満の声。
でも、ここで折れるわけにはいきません。

「最初から利益なんて考えるな。夢を信じろ!」
――そう心の中で叫び、自分自身を奮い立たせました。

2️⃣スタッフの挑戦

店舗スタッフ5人が中国の工場へ出張。
実際の製造現場を見て、ものづくりのリアルを学んでもらうためです。
ただ、ほとんどの社員にとって工場を訪れるのは初めての経験。
「大丈夫かな…?」と内心ハラハラしながらも、
きっとこの経験が彼らの成長につながると信じて送り出しました。

3️⃣店舗内装

店内はようやく70%ほど完成。
木の香りが漂い、少しずつ「ウッディプッディらしい空間」が形になってきました。

しかし、店舗運営には家庭とは比べものにならないほどの設備が必要です。
300坪もの広さに、天井には大型エアコンを4台設置。
このときはまだ――
そのエアコンの電気代が想像を絶する金額になるとは、誰も知りませんでした。

4️⃣契約、契約、また契約

警備会社、駐車場、電気保安協会、自動ドアのメンテナンス会社…。
次々と契約書に印鑑を押しながら、
「これで本当に間に合うのだろうか?」と胸がざわめきます。

不安、不安、また不安。
まるで心が押しつぶされそうになる。

それでも――
最後はいつもの言葉で、自分を奮い立たせました。

「何とかなるさ。きっと何とかなるさ。」

そう信じて、また前へ。
木の香りに包まれながら、私たちは未来へと歩き続けました。

ウッディプッディ物語⑦ 決断の10月、覚悟のとき

決断の10月、覚悟のとき

オープンまで、もう後がない。
10月末までに発注を終えなければ、
1月初旬の船積みに間に合わず、
商品が届くのは1月20日を過ぎてしまう。

生産に残された時間は、わずか2か月。
決断の時が来た。

玩具と家具を合わせて発注金額は約2,000万円。
「本当に売れるのだろうか?」
「もし在庫の山になったらどうしよう…?」

夜、静かなオフィスで、
ひとり電卓を叩く音だけが響いていました。

内装工事は少しずつ形になってきたものの、
問題は次々に押し寄せます。

商品の検品は、中国駐在員に任せることにしました。
しかし、彼には玩具の経験はあっても、家具の経験がない。
「家具はどうする?」
その不安が胸に重くのしかかります。

結局、家具経験者の採用を決断しました。
日本で2名、中国で3名。
合わせて5名の新しい仲間を募集することに。

けれど、新たな疑問が浮かびます。
日本で採用した2人は、本当に中国勤務を引き受けてくれるのだろうか?
言葉の壁は? 通訳も必要になる。
気づけば、経費は当初の見積もりをはるかに超えていました。

聖書にはこう書かれています。

「塔を建てようとする者は、まず費用を計算しなければならない。」

まさにその通りでした。
予想外の出来事が次々に起こり、
山のような課題が目の前に積み重なっていく。

それでも、私たちは立ち止まりませんでした。

恐れよりも、信じる気持ちを選ぶ。
迷いよりも、前に進む勇気を選ぶ。

そう――前進あるのみ。

続く→

ウッディプッディ物語⑥ まだ4か月もある。そう思えた日

まだ4か月もある。そう思えた日

「もう4か月しかない」――そう思うたびに胸が締めつけられた。
でも、ある日ふと気づいたのです。

「いや、まだ4か月もあるじゃないか。」

そう考えた瞬間、心の中に少しだけ光が差し込みました。
何事も、受け止め方ひとつで見える景色は変わる。
そう信じて、私は頭を“ポジティブモード”に切り替えました。

まず取りかかったのは担当の明確化でした。
一人ひとりが責任を持って動けるよう、仕事を小さく分けていきます。

私は小売店舗の運営など初めての経験でしたが、
幸い、社員の中には店舗経験者がいました。
そこで、彼らの知恵と行動力に大きく頼ることにしたのです。

商品生産の担当、
店舗内装の担当、
オープニング準備の担当、
そして招待客の名簿整理の担当――。

それぞれが自分の持ち場で最善を尽くす。
私は全体の管理と進捗を見守り、
月に2回、全員で集まって会議を開くことにしました。

やるしかない。
もう、後ろを振り返っている時間はない。
前だけを見て、ただひたすら進む。

そんな日々の中で、
気づけば鏡の中の自分に白いものが少しずつ増えていました。

でも、それも悪くない――。
きっとこの白髪の一本一本に、
“夢を追った証”が刻まれているのだと思うのです。

続く→

ウッディプッディ物語⑤ オープンまでにやることは山のように

オープンまでにやることは山のように

2005年秋。
店舗のオープンまで、残された時間はわずか4か月

カレンダーをにらみながら、心の中で叫びました。
「果たして、本当に間に合うのか…?どうしよう?」

焦る気持ちを抑えながら、私たちはまず“やるべきこと”を整理し、
ひとつひとつリストアップしていきました。

すると――そこに並んだのは、
目の前が真っ白になるほどの、山のような課題でした。


1️⃣ 販売商品の選定と見積もり。
玩具も雑貨も、最小ロットは各200個。
家具は10台から20台。
一つひとつ、数量を決めるたびに背中に冷たい汗が流れました。

2️⃣ 包装と入り数の決定。
見た目も大切、でもコストも抑えなければ。
どこで折り合いをつけるか、何度も会議を重ねました。

3️⃣ 取り扱い説明書の作成。
4️⃣ 家具の組み立て説明書の作成。
分かりやすく、誰が見ても安心できるように――。
地味だけれど、とても大切な作業です。

5️⃣ 店舗スタッフ5人の募集。
将来的には“5店舗展開”を見据え、心強い仲間を探しました。

6️⃣ 配送用トラックの購入。
7️⃣ 商品の保管倉庫の確保。
8️⃣ 中国工場との打ち合わせ。
時には深夜まで電話でやり取りし、細かな修正を重ねました。


頭の中は、いつも“やることリスト”でいっぱい。
寝ても覚めても、やらなければならないことが次々に浮かんできます。

「間に合うのか?」
「本当にできるのか?」

不安は尽きません。
でも――それでも立ち止まるわけにはいきません。

やるしかない。
前進あるのみ。

それが、あの頃の私たちを動かしていた“たった一つの力”でした。

続く→

ウッディプッディ物語④ 夢をかたちにする覚悟

夢をかたちにする覚悟

夢をかたちにする――それは、想像以上に大きな覚悟が必要なことでした。

2005年、六甲アイランドの新店舗計画が動き始め、
現実的な“数字”と向き合う日々がやってきました。

家賃 月額170万円。
敷金 1000万円。
電気代 月40万円。
内装費は約4000万円。
商品代に約2000万円。

合計すると、およそ7000万円。
さらにその他の経費を加えると、総額は8000万円から1億円――。

「どうしよう……本当にやっていけるのだろうか?」
夜、電卓を握りしめながら、何度も頭を抱えました。

金融機関に相談すると、幸運にも1億円の融資が決まりました。
けれど、安堵したのも束の間。
心の中には「本当に返せるのか?」という不安が重くのしかかります。

5年で返済するなら、年間2000万円、月に165万円。
売上計画は年間1億円――月に830万円。
粗利益が400万円あれば、なんとかなるかもしれない。
でも、計画どおりにいく保証はどこにもありません。

六甲アイランドという場所に、どれだけのお客様が来てくれるのか。
誰にも読めない、見えない未来。
それでも――前に進むしかありませんでした。

「命まで取られることはないだろう。」
そう自分に言い聞かせ、
「だめなら、その時は潔く撤退しよう。」
そんな軽い気持ちも、どこかにありました。

けれど現実は、そんなに甘くはなかったのです。

不安と希望が交錯する毎日。
心臓の鼓動が一日中止まらないような緊張感。
それでも――
私たちは確かに、「夢に向かって生きていた」瞬間でした。 このあと、いよいよ店舗がオープンを迎えます。
その日、どんな光景が広がっていたのか――