遊びは子どもを賢くするためのもの? − しみずみえ

はじめまして。

“あそびの専門家” しみずみえです。

 

今月からこちらでコラムを書くことになりました!よろしくお願いいたします。「あそびの専門家」という聞きなれない肩書きの私が何をしているのか、まずは自己紹介しますね。

 

私は「あそび」という切り口で、大人たちに子どもとの向き合い方を、お伝えしています。お母さん/お父さんに向けては、親子で一緒に遊ぶワークショップや、遊びを理解するための講座を行っています。保育士さんや、子ども向け施設のスタッフ向けに研修を行うこともあります。また、ミュージアムのような施設での学び企画や、企業の仕事体験プログラムを考える、という「あそび」を広い意味でとらえた仕事もあります。

 

「あそびの専門家」を名乗るまでには、おもちゃの企画開発、キッザニア東京の創業、保育園の立上げや活動支援などの仕事をしてきました。様々な切り口で子どもたちに関わるうちに、子どもたちの豊かな成長のために大切なことは「あそび」の中にあると考えるようになり、今に至ります。

 

ところで、ここ数年、世の中の「あそび」に対する意識が変わってきたのですが、お気づきでしょうか? 「あそび」に価値があると考える人が増えています。「よく遊ぶと賢くなるってホントですか?」と、質問を頂くようになりました。

 

ちょっと前までは、「あそび」は「勉強」の対義語のように使われていました。「遊んでばっかりいないで、勉強しなさーい!」って言ったり言われたりした人もいるかもしれません。その頃に比べて、あそびが認められるようになり、これは良いことでしょうか。

 

実は私は、ちょっと心配しているのです。

 

遊びは学びで、よく遊ぶ子どもは賢くなる、と言われるようになりました。そうすると大人はどうするでしょうか。

 

「賢くなるために、ちゃんと正しく遊ばせなくちゃ!」・・・

 

笑い話のようですが、こういう大人が、実際に増えているのです。「子どもの能力を高めるための遊び」という本が書店に並ぶようになりました。脳が育つとか、発達を促すとか、効能書きの多いおもちゃが増えました。

 

遊んでばっかりしないで勉強しなさい、と言われていた時代のあそびは、全面的に認められた訳ではないけれど、それでも、子どもの領分として、主導権は子どもにありました。でも今、子どもを賢くさせることを目的に大人が遊びの主導権を持ち、子どもを導こうとしています。

 

確かに、子どもたちはあそびを通して、考えることや工夫することを楽しみ、失敗してもやり直せることや他の人と協力することを経験し、身体や手先を使うことを練習して・・・本当に沢山のことを学んでいます。でも、子どもたちは、「自分の発達を促すために遊ぼう!」とは思っていません。楽しくて遊びたいから、夢中になって遊んでいると、結果として、学びが後からついてくるのです。

 

だから、大人の人たちには、「あそび」のチカラをもっと信じていいよ、とお伝えしたいと思っています。何か学ばせようと目的を持たなくても、楽しく遊べば、ちゃんと学びが得られるから、そんなに頑張らなくても大丈夫だよ、って。

 

あそびは、決して難しいことでも、特別なことでもありません。身の回りのちょっとしたことに興味や疑問を抱いたり、面白がったりする気持ちから生まれた「普段着のあそび」こそが大切なのです。だから、もっと肩のチカラを抜いて、安心して、そして、大人自身も遊びを楽しんでみませんか。

 

次回からは、身の周りのことを使って、どんな風に遊ぶことができるのか、また、そのあそびが、どんな風に子どもの学びにつながるのか、ということを、具体的にお伝えしていきます。

 

どうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

ライター:しみずみえ

こどもの育ちとあそびの専門家。 玩具メーカーでの企画開発、KCJ GROUP 株式会社でのキッザニア東京の創業、こども向け体験講座の企画運営、保育園の立ち上げ支援などに携わる。 現在は、あそびを通して、おとな・こどもが共に自分らしさを育むことを目指し、こどものための遊びプログラムの提供 及び こどもに関わる大人のための講座や研修を行う。

【関連サイト】 こども×おとな×しごとプロジェクト
https://kocp.net/

【書籍】『あそびのじかん―こどもの世界が広がる遊びとおとなの関わり方(英治出版)』https://www.amazon.co.jp/dp/4862762174/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_S03Z6ZBCF3M0JT4C8DG3

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