Vol.4 毎月お店の絵本が入れ替わります |神戸市の絵本屋さん『ボタン堂』インタビュー

 街から次々と本屋さんが消えつつある2021年、とある小さな商店街の一角に、絵本専門店『ボタン堂』はオープンしました。ガラス越しに見えるカラフルな絵本の数々に、思わず足が止まり、気づけば懐かしの一冊を手に、その思い出がつい口からこぼれてしまう…。まるで、むかし通った駄菓子屋のような、久しぶりに訪れた実家のような、訪れる人が懐かしさを感じるフシギな絵本屋さん。そんなボタン堂について、店主のながはまあきこさんにお話を伺いました。

お店の絵本は毎月入れ替わります

─ 棚の上には、所々にタイトルのようなものがついていますね。
ながはま:それは、各本棚のテーマです。ここでは1週間に1回、本棚のテーマを1つずつ更新しているので、それに合わせて陳列している本も入れ替えています。
─ 週1回入れ替わると言うことは、1ヶ月経つと、品揃えがほとんど変わりますね。
ながはま:そうですね。定番コーナーを除く4つは変動するので、月に1度来ていただければ、全く違う絵本と出会えます。実はこのシステムも、自分の塾で考案しました。ただ本を並べるのではなくて、テーマごとに揃えてみたんです。この方法は、特にお父さんお母さんに定評がありましたね。表紙の陳列と合わせて、この入れ替わりシステムもボタン堂の特徴です。
ー実は先日こちらに来た時、「思わず笑っちゃう絵本」のコーナーにあった大槻あかねさんの『あ(福音館書店)』という絵本に一目惚れして買っちゃいました。
 

出典:福音館書店(https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=1165#modal-content)

ーたぶん、普通の本屋さんなら出会わなかったと思います。作品名の「あ」の段とか、作者の「お」の段とか、出版社「福音館書店」の段に置かれてても、おそらく気づかないままでした。
ながはま:「この本売りたいねんけど、どんなテーマならみんな手に取ってくれるかなぁ~」とか考えながら毎日考えています。それがきっかけで知らない絵本と出会ってくれたら嬉しいです。
ちなみにカメラマンさんは、気になる絵本ありましたか?
カメラマン:先ほどから、4冊くらい気になってるのがあるんですけど、その中でも『バスにのって(偕成社)』の絵が、個人的に好みです。

出典:偕成社(https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784032044904)

ながはま:あぁ、荒井良二さんの絵本ですね。その絵本「バスにのって」と言いつつ、じつは最後までバスに乗らないんですよ。
カメラマン:え、乗らないんですか(笑)
ながはま:ね、「思わず笑っちゃう」のテーマに合ってるでしょ?そんな風に「この絵本はなんでこんなテーマがついてるんだろう」と気になって読んでくれたら嬉しいです。
ーちなみに、次はどんなテーマを考えていらっしゃいますか?
ながはま:ちょうど2022年2月22日のスーパー猫の日が近いので、「ねこ」がテーマの本棚を作る予定です。このテーマの本棚も、1ヶ月後には変わってしまいます。なので、1ヶ月後にはほぼ別の絵本屋さんですね。常連さんでも、時々来られる方でも、いつでも新しい絵本との出会いが待っています。

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