展示会が終わり、会社に戻ると、机の上には大量の名刺が並んでいました。
まるで戦いの後に残された戦利品のようです。

「さて、ここからが本当の勝負だ。」

まずは名刺を業種別に丁寧に分けました。
メーカー、問屋、量販店、小売店、雑貨店……。

そして社員5人ほどで手分けをして、
展示会にお立ち寄りいただいたお礼の電話を一本一本かけていきました。

ところが――

展示会の会場では
「これは面白いですね!」
「ぜひ検討します!」
と笑顔で話してくださっていた方々の多くが、

電話では意外にもそっけない返事。

「また機会があれば…」
「今は予定がなくて…」

……あれ?
展示会でのあの反応は何だったのだろう。

正直、少し肩の力が抜けました。
商売とはなかなか思い通りにはいかないものです。

しかし、そんな中で一社だけ、
とても前向きな反応をくださる会社がありました。

それが 大手の玩具問屋さん でした。

販売ルートも広く、影響力も大きい会社です。
「ここだ。」

私たちは、この問屋さんに的を絞って営業活動を進めることに決めました。

早速アポイントを取り、本社を訪問。
担当の方に商品を見ていただくと、
一番強い反応があったのがままごとシリーズ でした。

当時、ままごと玩具の多くは
マジックテープで食材を切る仕組みでした。

しかしウッディプッディは違いました。

マグネット(磁石)方式

マジックテープは、使えば使うほど劣化します。
しかし磁石は劣化しにくく、長く遊べる。

そして何より――

包丁で食材を切ったときの
「カチッ」という小気味よい音。

子どもたちが何度も切りたくなる、
そんな気持ちよさがありました。

デザインも美しく、木の温もりがある。
担当者の方も何度も手に取ってくださいました。

そしてついに――

「では、まず少量ですがやってみましょう。」

初めての発注。

電話を切った後、
社内では思わず声が上がりました。

「やった!万歳!」

小さな注文でした。
でも、それはウッディプッディにとって
大きな大きな一歩でした。

しかし――

喜びは長くは続きませんでした。

このあと、
思いもしなかった 次の試練 が待っていたのです。